武蔵塗料ホールディングス株式会社 代表取締役 社長執行役員
福井裕美子さん
共立女子大学国際文化学部国際文化学科卒業後、化学品を扱う専門商社に入社。サイバーエージェント、ライブドア?マーケティングを経て、29歳の時に祖父が創業した武蔵塗料ホールディングスへ入社。2014年に代表取締役に就任し、アジア?米国?欧州を中心に、グローバル経営により力を入れる。プライベートでは、5歳になる一児の母。
vol.3
卒業生の社長にインタビュー!
共立社長のオキテとホンネ
2017.01.30
世界9カ国に拠点を置き、従業員1000人を抱える、武蔵塗料ホールディングス。業界屈指の技術力は、多くの企業に支持され、電機、自動車、ゲーム機器などの製品に使用されています。そんなグローバル企業の三代目として、日々奮闘している福井社長に仕事への情熱をはじめ、自分らしく人生を生きるヒントを教えてもらいました。
武蔵塗料ホールディングス株式会社 代表取締役 社長執行役員
福井裕美子さん
共立女子大学国際文化学部国際文化学科卒業後、化学品を扱う専門商社に入社。サイバーエージェント、ライブドア?マーケティングを経て、29歳の時に祖父が創業した武蔵塗料ホールディングスへ入社。2014年に代表取締役に就任し、アジア?米国?欧州を中心に、グローバル経営により力を入れる。プライベートでは、5歳になる一児の母。
――共立女子大学卒業後、時代の最先端をいくIT企業で仕事に没頭していた福井さん。お父様が経営する武蔵塗料ホールディングスに入社したのは、ある出来事がきっかけだったそう。
「実は、父が膵臓がんになってしまって。“父のために何ができるだろう?”、姉妹でそんなことを話し合い、妹は調理師免許を取得して、食事面をサポートすることに。私は家業に入り、仕事面で父を支えていくことにしたんです」
――お父様に入社の意志を伝えたところ、配属されたのは中国の工場。これまでの生活がガラリと変わります。
「六本木ヒルズのオフィスから、つなぎとヘルメットを着用して工場勤務です(笑)。工場では、塗料ができるまでの製造工程を学びました。前職ではサイトの立ち上げなどに従事していたので、当たり前ですが、財務についての知識はゼロ。将来を見据えて、会社の決算書や財務諸表の見方?読み方なども教えてもらいました」
――武者修行を経て、入社から8年後、会社を継ぐことを決めた福井さん。しかし周囲は、その決断に大反対!
「父が亡くなり、誰が会社を継ぐかで、多少なりとも揉めるんですよ(苦笑)。その火消しに躍起になるくらいなら、自分が社長に就任したほうがいい、そう思ったのですが…。娘を出産したばかりだったので、両立は難しいだろうと反対されました。塗料業界は男性社会ですし、まだキャリアが浅かったのもありますね。説得を重ねましたが、最終的には、役員全員の前で『私はやると決めました』と意志を伝えて、理解してもらいました」
――社長就任後、真っ先に取り組んだのは、経営理念や社訓?社是の見直し。社員の意識の統一をはかり、企業が何を目指しているのかを明確に示すことは、経営者の重要な使命だと考えたからです。
「より社員と同じ方向を見て働くことができるようになったと実感しています。とはいえ、まだまだ大変なんですけどね…。あそこのグループ会社が大赤字を出したとか、どこどこの工場で事故が起こったとか、毎日のように胃が痛くなるような報告が入ります。ドラマ『下町ロケット』では、阿部寛さん演じる町工場の社長が数々のピンチに襲われますが、まさにあんな感じです(笑)」
――毎日がドラマのよう! 数々のピンチに心が折れたり、社長業を辞めたいと思ったことはないのですか?
「思いますよ。でもやると決めたのは、他でもない私なので。トラブルが起こった時や、取引先や諸先輩に怒られている時は、『ただ今、成長中!』と強く言い聞かせています。ポジティブですか? だって弱気になったところで、誰も解決してくれないですから。『すべてうまくいく』くらいに思っていないと、やっていられません(笑)」
――辛くても続けていられる要因は、ポジティブ思考が全てではありません。何よりも福井社長自身が塗料の可能性を信じているから。
「“色”が人の心に与える影響って大きいんですよね。豊かな国って、建物の外壁が鮮やかな色に塗られていたりするじゃないですか? 町に色があると、犯罪件数が少なくなるというデータがあるのですが、建物をはじめ、あらゆるモノに色をつけるのは塗料。そう考えると、塗料は人の生活を豊かに、シアワセにすることができるはず。なんてやりがいのある仕事なのでしょう(笑)。“人々をシアワセにできるかどうか”は、企業のトップとして常に考えていること。モノを判断する時に、大切にしている考えでもあります」
――プライベートではお見合いを150回(!)重ねて、ご主人と出会ったのだそう。現在は、5歳の娘さんを育てるお母さんでもあります。
「主人はシンガポールで会社を経営しているので、離れて暮らしているんです。経営者には産休がないので、娘が小さかった頃は、お手伝いさん6人体制でなんとか乗り切りました…。近所の人も支えてくださり、帰宅したらドアノブに豚汁がかかっていたことも(笑)。娘は今、シンガポールと日本を行き来する生活を送っているのですが、頼もしいもので、日本を離れる時も『行ってきまーす!』と、軽やかに去っていきます」
――過去には、仕事と育児の両立に悩んだこともあったそうですが、ある固定概念から自分を解放したことで肩の力が抜けたと言います。
「以前は子供が小さい時期は、母親が一緒にいてあげるべきだと思っていました。海外出張も多く、月10日程度しか日本にいない自分は、母親失格では?と自分を責めたことも。でも“誰が一緒にいたっていいじゃない?”と気がついたんです。パパだって、ジジだって、ババだって。まっすぐな愛情を与えていればいい。これは、共立の後輩にも伝えたいことなのですが、世の中にある“女性はこうあるべき”という刷り込みで、自分を窮屈にしないで。スローガンは“既存の価値観なんて、ぶち壊してしまえ!”ですよ(笑)。そうでないと、自分の人生は生きられないから」
――どうしたら福井社長のように自分の人生を生きる、自立した女性になれるのでしょうか?
「私にとって自立した女性とは、ひとりで食べていけること、そしてひとりで立ち直れる人です。正直ベースでいえば自分の人生を生きようと思ったら、まずは稼がないと(笑)。ひとりで立ち直れるというのは、たとえば失恋したとして、会社に行けなくなってしまったり、周囲に当たり散らすようでは、自立した女性とは言いがたいですね。経済的にも精神的にも他人への依存度が高くなると、自分の人生を生きられなくなる。両方コントロールできるようになると、人生を自由に歩めるようになりますよ」
――中学?高校?大学と共立女子に通っていた福井社長。愛すべき後輩のために、応援メッセージはまだまだ続きます!
「日本の女の子は、自己評価が低すぎるのがもったいない!! 厳しいことを言うようですが、ベースとしてもっと自分を信じてあげないと、自分の好きな道を進むのは難しいのではないでしょうか。自分を信じるための“材料”として語学力を身につけるのもいいですね。世界に飛び出す力があれば、活躍の場が一気に広がりますし。大丈夫、我々女は強い生き物です! 自分を強く信じて、人生の荒波を軽やかに乗り越えていきましょう」
――なんて男前! 固定概念にとらわれず、自分の人生を生きている福井社長の言葉に勇気をもらった人も多いのでは? 貴重なお話、ありがとうございました。
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