――MD(マーチャンダイジング)研究所のスタッフとして、住宅機器メーカーなどへ売上げ拡大に向けてのアドバイスを行っていた森本さん。「子供が生まれても、ずっと働き続けたい」。そう思い、妊娠を機に独立。自宅でコンサルタント業務をすることにしたそう。
「私が子育てをしていた頃は、結婚や妊娠を機に退職する人がほとんどという時代。子供の手が少し離れて『そろそろ働きたいな…』と願っても、昔取った杵柄(=前職で得たスキル)で仕事復帰することは、まだまだ難しくて。先輩ママ達を見て『やりがいのある仕事を長く続けるには、自分で働く環境を整える必要がある』と思ったんです。ワープロとファックスを購入し、『これで何でもできる!』と意気揚々と家で仕事を始めました(笑)」
――前職での人脈や経験を生かし、順調に仕事の幅を広げていった森本さん。独立して12年が経った頃、森本さんのキャリアを大きく変える、ある出会いがありました。
「当時、共同主催していた在宅ワーク研究会のシンポジウムで、大手建設会社の社員の方に『仕事を受けてもらえないか?』と声をかけていただいたんです。この時受けた『建築資料の整理?電子化』の仕事は、現在のHA2の基盤的業務。そう考えるとシンポジウムでの出会いがなければ、今の会社はなかったと思います」
――「建築資料の整理?電子化」の仕事が増えるにつれて手がまわらなくなり、友人?知人に仕事を手伝ってもらうことに。気が付けば、10人を超える集団になっていましたが、当時、会社化するつもりはまったくなかったとか。
「起業願望がまったくなくて。なので、長い間私の口座に報酬を振り込んでもらい、スタッフに振り分けていたのですが…。業務が固定化して事業となってきた頃、担当者に『会社化してほしい』と言われたので、仕方なく設立しました(苦笑)。まさか、自分が社長になるなんて夢にも思ってもいませんでしたね」