Vol.12 仁平直江(旧姓?平)さん 29回生
1.今の自分について
ハーバード大学医学大学院で、がんの基礎研究をしています。
がんは、ヒトの身体を形づくる様々な細胞のうちの一部が異常に増殖することによって引き起こされる病気です。細胞の増殖は、遺伝子(DNAの配列情報)やタンパク質によって調節されていると考えられています。そこで、「遺伝子やタンパク質の異常がどのようにして、細胞の異常な増殖を引き起こすか?」を明らかにすることで、がんの増殖の仕組みを理解しよう!というのが私の仕事の目的になります。
研究者の仕事は、立案した仮説を基にさまざまな実験を行い、その検証の結果を論文として世の中に発表することです。まだ教科書には書かれていない生命現象を自らの手で解き明かし、世界に先駆けて発表するという作業は、研究職の一番の醍醐味です。日々、未知の生命現象に対して「なんだろう?」という探究心を持ちながら、わくわくと仕事をしています。
2.共立女子第二中高時代の感想、思い出、学校の良さや受験生に伝えたいこと。その中で、中高時代に学んで、今の自分のためになっていること
中学?高校ではテニス部に所属しました。素晴らしいメンバーと共に週3~4日の練習に加え、積極的に自主練も行ったため、気がつけばテニス漬けの6年間でした。試験前には勉強モードに切り替え、メンバー同士で勉強を教え合うなどして、学業面でもお互いに助け合いました。大きな試合に向けて、仲間たちと一心不乱に練習に打ち込んだ日々は、今でもかけがえのない思い出です。
このような高校生活の中で、私が分子生物学に興味をもったきっかけは、教育実習生として私のクラスを担当した本校の卒業生による生物学の授業でした。当時、ヒトゲノム計画(ヒトのDNA配列を解析する世界規模のプロジェクト)が完了し、分子生物学という遺伝子を基軸とした生物学が確立されつつありました。このような状況を知り、「あの卒業生のように大学に進学し、ヒトの身体の仕組みを遺伝子レベルで知りたい」と思うようになりました。高校時代の私が現在の職業に向かって歩み出せたのも、担任の理科の先生が親身になって私の進路相談に乗ってくださったおかげだと思います。
現在、アメリカのボストンで勤務しています。ボストンは高校2年時に参加したホームステイ先でもあります。ホームステイ時には、まさか将来ボストンで働くことになるとは想像もしていませんでした。高校2年時からホームステイを通して 「生きた英語」に触れる貴重な体験が出来たことを、とても幸せに思っています。
3.受験生へのメッセージ
豊かな自然に囲まれ、のびのびとした本校の校風だからこそ、私は「分子生物学の勉強がしたい!」という自分の本当の気持ちに気付くことが出来たと思っています。勉強だけの学生生活だけでなく、心身共に成長できる学生生活を送って下さい。
4.学校の良さを一言で表現すると…
じっくりと自分の将来について考える時間がもてる、のんびりとした校風
5.プロフィール
2001年 3月 共立女子第二高等学校 卒業
2005年 3月 北里大学 理学部 卒業
2007年 3月 東京医科歯科大学大学院 生命情報科学教育部 博士(前期)課程 修了
2010年 3月 東京医科歯科大学大学院 生命情報科学教育部 博士(後期)課程 修了
2010年 3月 理学博士 取得
2010年 4月 東京医科歯科大学 難治疾患研究所 博士研究員
2011年 4月 東京医科歯科大学 医学部 特別研究員
2012年10月 東京慈恵会医科大学 医学部 助教
2015年 3月 ハーバード大学医学大学院 ベス?イスラエル?ディーコネス?メディカルセンター 研究員
2015年 9月 同 講師