Faculty of International Studies
更新日:2017年06月01日
【国際学部】リレー?エッセイ(7)阿部恒久 「『均等法時代』の若い女性へ」
阿部恒久
「均等法」とは1985年に公布(翌年施行)された「男女雇用機会均等法」のことです。
近現代日本女性史を研究している私は、「均等法」の制定によって日本の女性は新たな生き方を求められるようになったと思っています。「均等法」は、当初いろいろな問題点を持っていましたが、1997年改正などにより改善され、日本社会に定着しつつあると、私は見ています。
何が一番変わったでしょうか。「均等法」以前は、企業?団体等雇用者側において、女性社員を男性社員と同等に処遇することは稀でした。「均等法」はそうしたあり方を是正するものです。こうした中で、多くの女子が4年制大学に進学するようになります。現在の多くの若い女性にとっては当たり前のことと思われるかも知れませんが、歴史的にみるとそれ自体が大きな変化なのです。
でも、実際に就職すると、総合職?一般職といったコース別人事制度によって結果としての男女の処遇の違いは解消されず、出産等により退職せざるを得なくなるケースも少なくありません。子育て一段落後の再雇用では約6割の女性がキャリアを継続できない、という現実もあります。したがって、均等法の理念がもっとしっかり定着するように、更なる努力が必要です。
しかし、大局的?歴史的に見ると、「均等法」制定を契機として、女性が自分の意志で継続的に働くこと、それにより自分で使うことができる収入を得られることは、制度的に初めて可能になったといえるのです。以前は、それが制度上、難しかったのです。女性の歴史を勉強すれは、このことは分かります、そして、このような見解に基づいて、私は「均等法時代」という言葉を使っています。
大学では、80歳、90歳まで生きる自分の人生を支える基本的な能力を身につけることが必要です。それを大学生活の柱に据えてほしいと思います。なお、「均等法時代」女性の恋愛?結婚?育児なども、従来とは違ったものになるはずですが、これはまた別の機会に譲りましょう。