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国際学部

Faculty of International Studies

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国際学部ニュース詳細

更新日:2024年07月08日

学生の活動

【国際学部】学生広報委員による新任教員(中村信之先生)へのインタビュー

 2024年度春、国際学部に新任教員として着任した開発経済学?応用ミクロ計量経済学が専門の中村信之先生に学生広報委員の丸山ひとみさん(国際学部3年)と内藤美咲さん(国際学部1年)がインタビューを行いましたので、その模様をお届けします。

 

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Q. 学生時代はどんな学生でしたか?
 中学や高校の頃から、ぼんやりとではあるものの世界を舞台に働きたいと考えていました。でも、海外に出たことも、外国人とも話したこともなかったので、「どうしたら海外で働けるだろう?」とたくさん考えて。その結果、英語で経済学を学べるプログラムがあって、留学制度が整っている大学に進学しました。ただ、僕が入学した年に、欧米の大学でよく採用されている「オナーズプログラム(通常の教育課程とは別に、選抜した学生に特別なカリキュラムを提供するプログラム)」がちょうど始まって、運良くその一期生に選ばれてしまったんです(笑)。

___どんなプログラムだったのですか?

 とにかく果てしなくハードなプログラムでした。徹底的に英語能力を鍛える授業の他、国際関係や統計学などの学習や、異なる学部のクラスメイトとゼミ形式でグループワークをしてリサーチスキルを身につけたりとか。それに加えて自分の学部の勉強もしなければならなかったので、本当に大変でした。当時のスケジュールを見返してみると、休日でも日の出とともに起床してそこから学校の図書館にこもっては閉館ギリギリの夜9時まで勉強するという…。 受験生のとき以上に勉強させられていましたね(笑)。さらに問題なのが、そのプログラムに参加すると、僕が参加したかった「英語で経済学を学ぶプログラム」に参加することができなかったので、僕が経済学部に入った意味がその時点でなくなってしまったんですね。経済学の理論も雲をつかむようで理解できず、入学してから「なんでこんなに学んでるのだろうか。経済学も好きになれないな。」と暗黒期を歩んでいました。

___そこから何か転機のようなものはありましたか?

 大学1年生の春休みに短期研修でフィリピンに行ったことが大きな転機だと思います。当時のフィリピンは人口急増や若年層の妊娠が問題視されていて、政府が国際機関と共同で学校に新たな保健教育カリキュラムを取り入れる計画を進めていたのですが、国民の大半が信仰するカトリックや現場の教員などから猛抗議が起き、結局白紙撤回になってしまったんです。そこで僕たちは、カトリックの司教や、教員、教育省職員、産婦人科医など様々な人にインタビューをして、計画が上手くいかなかった要因について調査をしました。どの方の意見にも納得できたのですが、「本来守られるべき人達がなぜ政策によって守られないんだろう」というモヤモヤが生まれました。フィールドワークの後半で、首都マニラにあるアジア開発銀行という国際機関に訪問して、そこで働く日本人職員の方とお話しする機会を頂き、その際に職員の方に自分のモヤモヤをすべてありのままぶつけたんです。そのときに職員の方からいただいた言葉がとても印象に残っていて。

___どんなお言葉だったのですか?

 「そのモヤモヤはすごくいい視点だね。でも、その思いだけで世界を良くすることは出来ないんだよ。だからまずは英語力と、相手に物事を客観的に伝えられるような分析力を身につけなさい。君はせっかく経済学部なのだから、経済学をしっかり勉強しなさい。」と言われたんです。帰国後に自分の将来を考えたとき、途上国の政策立案をサポートできる仕事に就きたいと決意し、そうした仕事ができるであろう国際機関で働くには、最低でも大学院で修士号を取得しないといけないことを知って、卒業後は大学院に進学しようと決めました。それから英語と経済学を猛勉強しましたね。

 

 

 

 

Q. 留学にはどのような経緯で行かれたのですか?
 もともと留学はしたいと思っていたんですが、せっかく留学に行くならしっかり学びたいと思い、当時アジアトップクラスの経済学を謳っていた香港中文大学に大学3年生の9月から留学しました。世界経済の中心ということで、世界各国の文化が一度に楽しめる都市ですごく楽しかったですね。ご飯もおいしいですし。一方で、肝心の授業はとにかく難しく、小テストではビリにもなるなど、何度も心が折れかけました。グループワークでもカルチャーショックを受けて。国籍がバラバラな6人のグループだったんですけど、集合時間には集まらないわ、議論が終結してないのに「これからバーに行くから」と言って途中で抜ける人もいるわで、本当に大変でした(笑)。ただ、そんな中でもコミュニケーションをとって、世界各国の友達もたくさんできたし、友達から「ノブは図書館に住んでるの?」と言われるくらい(笑)勉強して、最終的には全科目で無事に単位が取れたんです。お世話になった先生から最後に「君は本当に優秀だったよ、またここに戻ってきなさい」と言ってもらえたときの達成感はすごかったですね。



Q. なぜ開発経済学を専攻しようと思ったのですか?
 進学する大学院を考えたとき、フィリピンの短期研修での経験や今後のキャリアを踏まえると、やはり開発経済学という学問をしっかり勉強したいと思いました。また、大学院に入ってから初めて、データから色んな因果関係やメカニズムを解明しようとするミクロ計量経済学という分野も学んで、自分が今まで知らなかったことを知るということの楽しさに気づいて。加えて、指導教授をはじめ開発経済分野の研究者が政策提言や社会連携を通して、より良い政策を打ち出すために実務に貢献をしている姿が魅力的でした。研究者としてのキャリアは自分に合っているかもしれない、もう少しこの道を突き進めたいと決め、博士課程まで進学しました。

 

 

 

Q. 今年3月まで国際協力機構(JICA)緒方貞子平和開発研究所に勤務されていたとのことですが、JICAではどのような研究?お仕事をされていたのですか?
 大学院から研究してきた途上国の社会保障政策や外国人労働者の経済的行動に関する研究はJICA入構後も続けていました。例えば、多くの途上国で採用されている、子どもを学校に通わせるなどの条件を満たした貧困家庭の母親に補助金を給付する「条件付き現金給付政策」の効果や課題について研究したり、日本に出稼ぎに来る外国人労働者の国際送金の動向などについて実際にデータを集めて分析するというような研究は今も続けています。また、JICAが実施するプロジェクトについて研究のアプローチから助言?提案をしたり、研修で来日している途上国の行政官に向けた講義を行っていました。

 


Q. 去年の後期から非常勤として授業をされていましたが、4月に常勤講師として着任されてから、何か共立生への印象に変化はありましたか?
 非常勤の頃 は「真面目で大人しい学生が多い」という印象を強く感じていました。授業内では、どうしたら双方向でアクティブな授業ができるだろうか?と試行錯誤しながら授業をしていましたね。今年から常勤として勤務し、真面目?大人しいだけでなく、何かに挑戦したり、将来のことを真剣に考えたり、まだやりたいことが見つからなかったり、色んな悩みや声も聴いたりして、非常勤時代には知らなかった共立生の姿も知ることができています。授業内でのリアクションペーパーなどでも自分の考えを書いてもらうと、皆すごくいい意見を持っていて、こちらが学ばせてもらうことも多くありますね。だからこそ、もっと自信を持って、失敗を恐れずに挑戦していってほしいとも感じました。
 
__その考えは先生の学生時代の経験と何か関係があったりはしますか?
 
 そうですね。僕自身、大学時代に参加したプログラムで発言を求められる機会が多くあったんですが、バラエティ豊かな同期たちの意見を聞くことで今まで常識だと思っていたことがそうじゃないと気付かされたことが多くあったし、「世の中に正解なんてないんだな」と思えるようになりましたね。自分から発信しないと周りに気づいてもらえないし、大学だけに限らず、ぜひどんどん色々な人たちとのアウェイ体験を増やして、自分の世界を広げていってほしいと思います。そのためにはやはり色々なことに積極的に挑戦してほしいですね。



Q. 神保町でお気に入りのお店などはありますか?
 実はまだちゃんと神保町を探索できていないんです(笑)。お昼にボンディやマンダラなどのカレー屋さんには行くことができたんですが、もう少し落ち着いたらもっと探っていきたいなと思います。あとは、お笑いが好きでよくライブに行ったりYouTubeも見たりするので、神保町吉本にも行ってみたいです。

 

 

 

 

Q. 共立生へメッセージをお願いします。
 僕自身、大学時代に先輩から教えてもらった「大学は大学に行けなかった人のためにある」という言葉を大切にしています。歴史的にも学びたくても学べなかった人はたくさんいて、今もなお、世界で高等教育に進める人はまだまだ限られています。共立生の皆にも、恵まれない境遇の人だったりとか、大学に行けなかった人達のために自分が学んだことを還元していってほしいですね。そのために勉強も頑張ってほしいし、色んな経験をして、皆さんが培っていったスキルが社会に出た時に少しでも何かに活きるといいなと思います。また、数学が苦手な人ほど経済学をぜひ学んでみてほしいです。  ニュースを見たり、将来社会に出て働くときに、経済学の考え方があるだけで、物事をシンプルに捉えることができたり、本質を見抜くことにも役立つので、色々な分野の勉強ができる国際学部という環境をぜひ活用してほしいと思います。



Q. 新任教員としての意気込みを教えてください。
 自分自身もまだまだ成長途上ですので、共立生や教職員の皆さんから学びながら、学生の皆にとって、共立を卒業できてよかったと言ってもらえるような教育をしていきたいと思います。また、研究者としてもよりよい研究ができるように日々研鑽をしていきたいと思います。大学?大学院時代の先生方にとても恵まれましたので、悩んだ時に道標になってくださった先生方のようになれたらと思っています。

 

 



インタビュー:丸山ひとみ、内藤美咲

 


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